社長に求愛されました
今、惹かれているとして挙げた部分が時間と共に少しずつ変わっていったとしても、自分のちえりへの想いはきっと、絶対に変わらない自信さえある。
この想いが異常だという事は、過去にしてきた恋愛と比べれば一目瞭然で篤紀自身分かってもいるのだが。
いくら狂気だと言われようが、温かさを持つこの感情が、いけないものだとも、咎められるものだとも思えなかった。
今まで抱えてきたどの想いよりも優しく温かい気持ちなのだから。
愛しいという言葉を集め形にしたらちえりになるんじゃないかと思うほど、愛しくてやまない存在。
ずっと永遠に、傍で見守り、想いを注ぎ続けたいと強く願う。
隣で未だに照れて布団を顔まで引っ張っているちえりを見て、篤紀が頬を緩める。
「ちえり、こっち向けよ」
「嫌です」
「嫌とか言うな。傷つくだろーが」
「嫌です」
頑なな態度に苦笑いを浮かべた篤紀が、ちえりの赤く染まった耳を見ながら、それを微笑みに変える。
そして。
「なぁ、ちえり」
「……なんですか?」
「結婚しようか」
少しの間があってから、ちえりが「え……?」と声をもらし篤紀を振り向く。
その顔からは、驚きのせいかもう赤みは消えていた。