社長に求愛されました


「ウィッグ持ってきてくれたので、それで……。
ドレス着て髪もちゃんとしたら、さすがにメイクもきちんとした方がいいかなと思って。
でも……なんか私、浮いてますか? メイク、濃かったのかな」

ちえりがバツが悪そうに俯いたのにはわけがある。
どうも、会場に入ってきてから周りの視線が気になるのだ。
特に男からじろじろと見られている気がして、居心地が悪い。

だから端に避けたのだが、それでも集まる視線はたいして変わらないように思えた。

格好やヘアメイクがおかしくて浮いているんだろうか……。
そんな心配を本気でしているちえりに、綾子が呆れ笑いをこぼす。

「違うわよ。高瀬がキレイだから見られてるに決まってるじゃない。
普段から思ってたんだけど、もう少し自覚持った方がいいわよ。男受けする可愛い顔してるんだから、あまりに無自覚すぎて危ない目に遭ったりしても困るでしょ」
「まさか。私なんて気にかける人なんてそうそういないですよ。こんなにキレイな人ばかりなんですから」





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