【完】それでも、あたしは君が好き。
「ひ、比呂………?」
「特別…だろ?俺はお前を特別って言った。
お前は違うのか?」
あたしの持つ紙を覗いたのか、
比呂はそう言ってあたしに手を差し出してきた。
確かにあたしだって特別。
だけど………
西山さんが見ている前で、
手を繋ぐの……?
「愛結?」
「………比呂。西山さん見てるよ」
「平気。俺は芽衣にも
『愛結は特別』って言ってるから。」
あたしの胸はありえない早さで
動き出す。
少しスタートから走ったし、
焦ったからだと思おうとしても。
目の前に『好きなひと』がいれば、
通用しない。