【完】それでも、あたしは君が好き。
「そっか」
比呂の横顔は
どこか切なそうで、
あたしは思わず目を逸らしてしまった。
比呂のそんな切ない顔を
見たのは初めてに近い。
そんな比呂の顔を見た、
あたしの胸はチクッと痛んだ。
「うん…そうだよ………」
教室にはたくさんのクラスメイトがいるのに、
今あたしたち2人しかいないような、
空間に感じる。
背景がなくなったみたいに、
静かに……
2人の息だけが響くような。
そんな感覚。