【完】それでも、あたしは君が好き。
「あ!居たっ木崎くんっ!」
突然甘ったるい声が聞こえ、
その声で今の空間は断ち切られた。
「…芽衣」
「暇だったらお話しよう!」
「…うんいいよ。
じゃあな、愛結」
「あ、うん」
行かないで。
行かないで。
そう言ってしまいたかった。
だけど、彼女でも何でもないヤツが、
そんなこと言えなかった。
ただ、比呂のその背中を見つめることしか
出来なかった。
「…ただいまーって愛結大丈夫?」
「…お、かえり…」
莉生ちゃんに声をかけられ
返したあたしの声は震えていた。
それと同時に頬を涙が伝った。