【完】それでも、あたしは君が好き。
「俺……愛結…がすき…だ」
詰まりながらだったけど、
比呂はそう言って
あたしの目の前で西山さんをフッた。
「うん。ありがとう。
短かったけど楽しかった。
ありがと。木崎くん。」
そう言って西山さんは、
何もなかったかのように教室を出て行った。
二人取り残された教室は
オレンジ色に輝いていた。
「……ひ、比呂……」
「愛結…」
ぎゅーっと音がなりそうなほど、
あたしを力いっぱい抱きしめてくれた比呂。
暖かい。暖かすぎるよ。
「……比呂…これ、夢?」
「なわけないだろ……」
比呂はそういってあたしに
優しいキスをした。
初めて比呂としたキス。
甘くて、深くて
溶けそうだった。