Kissから始めよう
「和佳奈の気持ち、分かったから。
でも、俺は待ってる。お前が俺じゃないとダメだっていってくれるのを。」


優しい彼は、そう言って身体を離した。

見つめる瞳は真剣で。

「無理強いは絶対にしない。だから、側に居るの許してくれよ?」

「はいっ」


俯いたら涙が零れた。

「前に飲み会でからかわれてこんな年のくせにって・・・言われちゃって・・・それ以来恋愛なんかしたくなかったんです。」


8年前まで付き合っていた彼は、それきり連絡がない。

住むところも変えて逃げた私を追いかけて来ることはしなかった。
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