Kissから始めよう
ガチャリ、と音がしてハッとする。
「和佳奈っ」
飛び込んできた彼は、真っ直ぐに和佳奈のそばに来た。
「どうした?」
そう尋ねると、和佳奈の震える身体を抱きしめた。
「行かないで…お願い、独りにしないで…」
「和佳奈…」
「好き…雄輔さんが好きなの、辛くても悲しくても雄輔さんの事が好きなのぉ」
縋り付くしか出来なかった。
正直な気持ちを吐露しても、彼が見ていたのは自分ではなくこのはだった。
その事実が辛い。