Kissから始めよう
「おい。」


低〜いバリトンが不機嫌モード全開で話し始めた。

・・・雄輔さん!


「いい加減にしろ。営業と違ってここは内勤なんだ、邪魔になる。」

「わ、怖い怖い!!鬼が来たから帰るけど今晩の件考えといて!!」


逃げるように帰っていくその後ろ姿につい、あっかんべーをしてしまった・・・。



「藤ヶ瀬さん。」


小さな声で彼が話しかけてくる。

ハッとしてそちらを見ると。


苦虫を噛み潰したような顔をして雄輔さんは私を見ていた。


「気を付けて。」


それだけ言うと自分のデスクに戻る。


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