恋はしょうがない。~職員室であなたと~
「おい!誰がチャラチャラしてるって?」
職員室の向こう側から、サッカー部の顧問の平田が声をかける。
「あはは!いやー、すいませーん」
古庄は頭を掻きながら、平田に頭を下げる。そして、
「…つい、本音を言っちまった」
と、真琴に向かってウインクしながら囁いた。
真琴も、思わず鼻から息を抜いて口元をほころばせる。
「そんな風に賀川先生が笑うの、初めて見た」
そう言った古庄の方が、真琴が薄く笑ったよりも、もっとニッコリと優しい笑みをたたえていた。
非の打ち所がない容貌により作り出される古庄の笑顔は、どんな女性の心をも魅了する力がある。
真琴も例に漏れず、その笑顔に見とれてしまった。
古庄に言われたことを、改めて省みて、真琴はいつも自分が古庄に向かって仏頂面ばかりしていたことに気がついた。
決まりが悪いので、話題を変えることにする。
「古庄先生がいないから、女子たちが探していましたよ」
それを聞いて、古庄は顔をしかめた。
「ああ、もしかして、俺がいなくて、あいつら賀川先生に迷惑かけた?」
問いかけられて、真琴は首を横に振った。