恋はしょうがない。~職員室であなたと~
声色に緊迫感があったので、真琴の中に嫌な予感が落ちてゆく。
「島田聖司という生徒は、先生のクラスの生徒だね?」
「はい……」
答えながら、島田が無断欠席していたのを思い出して、真琴の不安はますます増していった。
「島田が万引きで捕まったらしい。今川町の本屋だそうだ。」
――……ああ、やっぱり……!
悪い予感が的中して、真琴の目の前が真っ暗になった。
けれども、落ち込んだり動揺している暇はない。
「終礼は副担任に行ってもらって、賀川さんは保護者へ連絡とって、それから僕と一緒にその本屋へ行ってくれるか?僕は職員通用口へ車を回してくるから」
真琴はとりあえず、学年主任の指示に従って、終礼を副担任に頼もうとしたけれども、肝心の副担任の姿が見えない。
その他のクラスの副担任に頼もうにも、まだ清掃から戻ってきていなかったりで、やはり姿が見えない。
「……どうしよう……」
真琴の声を震わせた呟きを、隣にいた古庄が気に留め、その尋常ではない様子に眉をひそめる。