恋はしょうがない。~職員室であなたと~
友人の門出を祝福する慶びよりも、泣いてしまうほどの大きな動揺――。
それで、真琴はやっと自分の気持ちに気が付いた。
――……古庄先生が、好き……
それを自覚するとともに、涙はとめどもなく流れ出してくる。
自覚した瞬間に、諦めなければならない恋――。
その現実は、真琴にとって身を切られるように辛すぎた。
それまで思い浮かべるだけで安心し、暖かい気持ちになっていた古庄の存在が、少しでも思いに過るだけで胸が切り裂かれるように、切なく苦しくなってくる。
自然に涙が溢れだしてきて、唇は自然に「古庄先生……」と呟いている。
寝ても覚めても、古庄の存在が思考の大部分を占め、食べることも眠ることもままならなくなった。
大学時代に付き合っていた「彼氏」に対して、真琴は、こんなに深く激しい想いは感じていなかった。
それから色んな男性に出会ったけれど、どの人にもこんな想いを抱くことはなかった。
だから、自分のことを恋愛感情に鈍い人間だと思い込んでいた。
自分の中に、こんなにも一人の男性を恋い慕う感情が存在していたなんて……。