恋はしょうがない。~職員室であなたと~
苦悩
1日ぶりに会う古庄は、一昨日と何ら変わりのない態度で接してくれる。
「熱が出たって?大丈夫?」
マスクを着けた真琴に向かって、古庄は心配そうに声をかけてくれた。
昨日は努めて泣かないように気を付けていたが、まだ目の周りには泣き腫らした痕跡が残っている。
それを古庄に覚られないように、真琴はただ頷いて顔を逸らした。
古庄の顔を見ただけで、心が痺れるような痛みに侵されていくのが分かる。
――この人のことが、好きだ……
それも、何者にも代えがたく。
空気を伝ってくる古庄の息遣いを右側に感じながら、真琴は自分の慕情を再認識した。
でも、この想いは断ち切って、諦めなければならない――。
いっそのこと、キッパリと諦められたら、どんなにか気持ちも楽になるだろう。
けれども、自覚しないうちに、真琴の古庄への想いは、自分でも制御できないほど深まってしまっていた。