恋はしょうがない。~職員室であなたと~
欠勤をした昨日、真琴は静香へと「お祝い」のメールを送り、その返事で真実を知った。
まぎれもなく、桜野丘高校の古庄は静香の結婚相手だということを。
真琴を驚かそうと、静香は敢えてその事実を、招待状が届くまで教えなかったことを。
――初めから知っていたら、好きになる前に歯止めをかけたのに……
真琴は、そう思わずにはいられない。
どんな女性でも、一瞬で恋に落としてしまうような古庄だ。
静香は、真琴が古庄に恋しているとは思わなかったのだろうか。
結婚という喜びが大きすぎて、その事実を知った時の驚きが、真琴の気持ちを弄ぶことにまで思いが及ばなかったのだろうか。
目の覚めるような光を放つ古庄のような男を射止めたのだから、その幸運に目がくらむのは無理もないのだが…。
当の古庄は、結婚式や披露宴に同僚を招待する気はないのか、「結婚する」という事実をまだ周りにも伝えていないらしい。
普段通り早く出勤し、空き時間には新聞を読む古庄の様子は何も変わることはなく、結婚する素振りなど微塵も感じさせていない。
もちろん、真琴へ結婚する話題を持ちかけてくる様子もない。