恋はしょうがない。~職員室であなたと~



「……ウソだ。避けてる。俺が何かしたのか?」


優しい性分の古庄は、自分を責めて、自分に原因があると思っているらしい。


古庄の険しい顔に苦悩が浮かぶのを見て、真琴は愛しさと切なさのあまり、体が震えはじめた。


「古庄先生は何もしていません。でも、もし先生がそう思ったのなら、私が悪いんです。ごめんなさい」


真琴が涙を堪えるのも、もう限界だった。
これ以上一緒にいたら、自分でも抱えきれないほどの古庄への想いが溢れ出してしまう。


真琴が本心を語っていないのを見透かしているのか、古庄は真琴の言葉に納得できないらしい。

腕を掴む手にいっそう力を込め、離してくれる気配がない。


「これからは気を付けます……。改めますから。離してください」


古庄から逃げ出すために、真琴は必死だった。
体をねじらせ、古庄の手から逃れようともがいた。


その瞬間、古庄の腕が体に巻き付いて、真琴は古庄の懐の中へと抱え込まれていた。




「……離したくない。……君が好きだ……!」




薄いシャツを通して、古庄の硬い胸板を唇に感じながら、真琴は自分の耳を疑った。


古庄が想っているのは、静香だったはず……。

力強く自分を抱き締めている古庄のこの腕にも困惑して、混乱が一気に押し寄せてくる。





 
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