恋はしょうがない。~職員室であなたと~
今さら、古庄からこんな想いを打ち明けられても、もうどうしようもない。
「…それは、指輪も買い、式場も決めてる結婚を止めるとなると、双方の家を巻き込んで大変なことなるし。芳本さんも傷つけることになる……。それに、俺はずっと君に嫌われてると思ってたから、この想いが叶うことはないと、諦めてたし……」
真琴は、古庄と出会ってしばらくの、まるで邪険にするような、自分の素っ気ない態度を思い出した。
望まずとも、女性の方から寄ってこられる古庄だ。
女性に好意を示されるのが当然の感覚ならば、真琴には嫌われていると思っても無理もない。
真琴が視線を落とし、ため息を吐いた時、再び古庄の腕が真琴を抱き寄せた。
「でも!まだ、間に合う……!どうしても、君のことは諦めきれない!」
そう言うや否や、深く古庄に抱き込まれると、古庄の唇が真琴の額に触れた。
古庄に触れられて、真琴の体に震えが走る。
――あなたが、好きです……!
心の中では、その想いが何度も繰り返されていたが、真琴はそれが口をついて出てこないように、歯を食いしばって耐えた。
目をきつく閉じて、横に首を振るとともに、古庄の腕から逃れようともがく。