恋はしょうがない。~職員室であなたと~

思いがけない人




放課後ともなれば、古庄の机の周りには女子生徒がたむろする。

これが、真琴にとっては少し迷惑だ。
明日の授業の予習や分掌の仕事など、やらねばならない仕事が山ほどあるのに、ちっともはかどらない。


真琴の怪訝顔を察したのか、用もないのに職員室に生徒が入り浸るのはよくないと考えたのか。
いつしか古庄は放課後になると姿を消すようになった。


「賀川先生~。古庄先生はどこにいるんですか~?」


古庄がいないとなると、決まってこの質問が、隣の席の真琴へと向けられる。


「さあ?家庭訪問にでも行ってるのかな?」


いちいち古庄の行動を確認しているわけではないので、放課後の古庄がどこにいるのかなんて、知ったことではない。


クラス担任は、夏休みのまでの期間に、担任している生徒たちの家へ、家庭訪問をすることになっている。
真琴も時間を確保しては、せっせとその仕事をこなし、これから二人ほどの生徒の家へと赴く予定だった。





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