蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
こうなれば、耳元で大きな声を出して起こすしかない。
藍は、身体を何とかずり上げようと手足をばたつかせた。
すると今度は、その動きに呼応するように肩に回っていた拓郎の手が、すっと離れた。
ああ、今度こそ起きてくれた――。
と、安堵したのも束の間。
離れた筈の手にスッと首筋を撫で上げられ、背筋にくすぐったい感覚が走り、藍はビクリと固まった。
腰を抱く腕と首筋に触れる手に、ぐっと力が込められ、引き寄せられる。
え?
「芝……」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
分かるのは、唇に伝う、熱い感触。