蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「んっ!?」
唇から唇に伝わる柔らかくて熱い感触が、煩いほどに暴れ出した鼓動と共に、痛みに似た甘い感覚を全身に伝える。
し、し、芝崎さん!?
「ん……!」
アルコールの匂いと、バラの残り香、そして熱い唇の感触。
くらくらと、世界が回る。
苦しい。
ままならない呼吸と、そして。
何故か、胸の奥が、苦しかった――。
……ああ、これじゃ。
助けに行って二重遭難しているようなものじゃない。
明日の朝には、二人仲良く風邪を引いているにきまっている。
やっと唇は解放されたものの、身体はがっちり抱きしめられたまま身動きの出来ない藍は、突然の出来事に顔を赤らめながらも、少しばかりピントのずれた心配をしていた。