蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

広い十二畳の和室の、アパートの十倍はありそうな大きな家具調コタツを皆で囲んで、おせちでお昼食になってすぐに、


「で、何があったのかな、藍ちゃん?」


と、待ってましたと言わんばかりに興味津々の、美奈の質問大会が始まった。


拓郎に聞かずに、素直に答えそうな藍に話を振る所が、美奈の美奈たる所以である。攻め所を心得ている。


「え、あの……?」


だが藍は、何を聞かれているのか分からないように、きょとんと首を傾ける。拓郎はすかさずフォローに入った。


「美奈さん。何か質問があるなら、俺に聞いて下さい、俺に!」


「拓郎は、嘘つきだからダメ」


「な、何ですかそれは。人聞きが悪い。俺がいつ、嘘なんかつきましたか?」


「ついたじゃない。この前『藍ちゃんのこと好きなんでしょ?』って聞いたらあんた、なんて言った?」


「……別に、ただの同居人です……よ?」


と、言った筈だたぶん。



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