蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

拓郎が、半月ほど前の美奈との会話を思い出しながら答えると、美奈はうんうんと、納得気に頷いた。


「そう。そう言う心にも無い嘘を、シャラーっと言うようなヤツは、信用出来ないから、素直で嘘なんか付かない藍ちゃんに聞くんじゃないの」


「……嘘って」


別に嘘を言った訳じゃない。


少なくとも、美奈に質問をされたその時点では、拓郎の言葉は嘘偽りなく真実だった。


この二ヶ月間、二人の間にはいわゆる『恋人』と言えるような事は何もなかったのだ。


クリスマスの夜までは――。

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