蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「家で貰わなくても、誰かに貰われて行くんだけど、どうする? やめておく?」
「芝崎さん、その言い方、少し意地悪です」
からかうような拓郎の声音に、藍は少し頬を膨らました。
このごろ、藍は拓郎に対して、こういう表情を見せてくれるようになった。
出会って四ヶ月あまり。
藍に対する自分の気持ちに気付いた拓郎だったが、相変わらず二人の関係は何の進展も無い『恋人未満』だった。
だが、少しずつではあるけれど、何かが変わりつつあるのを、拓郎もそして藍も感じていた。
時が確実に、二人の距離を縮めている。
青い木の実は、確かに色付き始めていた。