蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
17 【再会】
アポを取っていない、突然の訪問。
常識からして『すんなり取材の許可など下りるはずはない』と踏んで、色々と粘る口実を考えていた拓郎は、意外にあっさりと応接室に通されて、正直拍子抜けしていた。
『先日、会長の日翔源一郎さんに取材をさせて頂いたんですが』と付け加えたのが良かったのかもしれない。
ワンマンで有名な会長だから、その名前の効力は、かなりのものなのだろう。
拓郎が通された応接室は、10畳ほどの極ありふれたものだ。
味気なさ一歩手前。
グレートーンの室内の中央には、シンプルな応接セット。
そこに座って待つように言われた拓郎は、興味津々で室内を観察した。
壁には、何処かで見たことがあるような風景画、そして研究所の航空写真。それに、日翔源一郎のにこやかなバスト・ショット写真が掛けられている。