蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~


双子か良く似た姉妹かは分からないが、これ程似ているのだから、血縁者には違いないだろう。


だとすれば、藍の居所を知っているはずだ。


「大沼藍さんは、ここにいるんですね?」


拓郎は、真摯な真っ直ぐな瞳を、目の前の恋人と瓜二つの少女に向けた。


動じることもなく、その視線を受け止める日翔藍の瞳に、柔らかい光が宿る。


「思った通りの人で、良かった」


「はい?」


言葉の意味が分からず、拓郎は間抜けな声を上げた。


「あなたに、ここの住所を書いた手紙を残したのはね、私よ」


そう言って彼女は、いたずらっ子のように、ふふっと笑った。





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