蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

「は?」


やはり話が飲み込めずに、拓郎は間抜けな声を上げてしまう。


「さあ、とりあえず、君が探している『大沼藍』さんに会いに行きましょうか。この部屋から一歩外にでたらあなたは新任の研究員、そうですね、麻酔医と言うことにしましょう。ああこれを着て下さい」


と、拓郎は柏木から何故か白衣を渡される。


新任の研究員で、麻酔医?


どうして生物研究に、麻酔医?


拓郎は渡された白衣を、呆然と見つめた。


「さあ、行きましょう」


分からないことだらけだが、とにかく藍はここにいて、彼らに付いていけば会えるらしい。なら、付いていくしかない。


拓郎は、そのためにここに来たのだ。


「分かりました」


訳が分からぬまま、渡された白衣を羽織ると拓郎は、柏木達の後に続いてその部屋を後にした。

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