蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
目に飛び込んできた光景に、驚きの余り拓郎は、とっさに声を発することが出来なかった。
蒼い光の中、その薄暗い部屋の中央にあるのは、直径一メートル、高さがが二メートル程の円筒形の水槽のような物だった。
そして、その中に満たされた蒼い液体の中、無数のチューブに繋がれて浮かんでいる物、それは、紛れもなく拓郎の捜している『大沼藍』だった。
「藍!?」
名前を呼んで駆け寄る。
「おい!藍!!」
拓郎は水槽の壁を叩いて叫んだ。が、藍は何の反応も示さない。
「これは、どういう事だ!?」
ゾクリと、背筋に悪寒が走った。
「藍に何をした!?」
堅く閉ざされた瞳には、何も映らない――。
「何をしたんだっ!!」
拓郎の悲痛な叫び声だけが、蒼いその部屋に響き渡った。