蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「すみません……」
と、連絡先を尋ねる拓郎に、申し訳なさそうにうつむいていた藍……。
拓郎は、「家出娘のたわいない言い訳」と簡単に考えていた。
あの言葉の裏にあった、あまりにも重い真実――。
知らなかったとはいえ、その藍に対して何て無神経なことを聞いたのか。
静かに眠る彼女の頬に、そっと触れてみる。
伝わる温もりを感じて、拓郎は泣きたくなった。
「向日葵って、いつも太陽を見詰めて ”凛”と立っているでしょう? あの強さに憧れるの……」
不意に、藍の言葉が蘇える。