蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「あなた……、泣いているの?」
日掛藍が、驚いたように言った。
そして、眠っている藍の顔をじっと見つめると、その頬に自分の頬をすり寄せて呟く。
「藍、あなた、いい人に巡り会えて、良かったわね……」
彼女の瞳にも光るものが溢れ、その白皙のなめらかな頬を伝った。
それは、不思議な光景だった。
同じ顔、、同じ髪、同じ肌、……二人の同じ人間。
違っているのは、その髪と肌の微妙な色合いだけ。
日掛藍の漆黒の髪と、大沼藍の金茶の髪がさらさらと混じり合う。
それは、まるで、神の気まぐれで二つに裂かれた一つの魂が、一つに還ろうと引き合う姿のようにも見えた。