蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
28 【向日葵畑】最終話
そこは、一面の向日葵畑――。
遠くから、ミンミンゼミの大合唱が聞こえて来る。
麦わら帽子をかぶった、白いワンピースの華奢なシルエットが振り返る。
「この辺で良いかしら? あっ?」
柔らかい向日葵畑の土に、足下を取られて転けそうになる。
「うわあっ!?」
カメラを構えて、写真を撮ろうとしていた拓郎は、カメラを放り出して脱兎のごとく駆け寄り、彼女を抱え込む。
「……頼む――。頼むから、転けるのだけはやめてくれ。寿命が縮まる」
は~っ、と心からの安堵の溜息が、思わず漏れる。