蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
日翔 藍、十八才。
彼女は、「生粋のお嬢様」だ。
何せ、私が所長をしているこの『日翔生物研究所』を所有している天下の『日翔グループ会長の孫娘』にして、『唯一の後継者』なのだから。
勝ち気で、気位が高くて、我が儘で、
……そして優しい娘だ。
それは、私が一番良く知っている。
五才の時から十三年間、この研究所で私が育てて来たような物なのだから。
「別に、問題はないでしょう?
お祖父様だって、ひ孫が出来るんだから、大喜びよ。
先生、私の事好きでしょ?
私は、元々先生が好きなんだから、何の問題もないわ。
何か、おかしい?」
おかしい? と真顔で聞かれても……。
「おかしくは、ないが……」