蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「まるで眠り姫みたいね」
コールドスリープに入らざるを得ない自分の運命など物ともせず、彼女はそう言って笑った。
その笑顔を、守りたい――。
「分かったよ。そうしよう。協力するよ」
彼女が、満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう! 先生! 大好きよ!」
そう言うと背伸びをして、私の首にぶら下がるように、抱き付く。
そして右頬にキスをした。
終業後、所長室での一コマである。
今の自分は、さぞ締まりのないニヤケた顔をしているだろう。
部下には、死んでも見せられないぞ……。
私は心の中で呟いた。
―おわり―