蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

しかし……。


コタツにインスタントラーメン。


拓郎には生活の友のこれらを知らない少女。


どこの深窓のご令嬢なんだ?


話し方といい物腰といい、拓郎が知る普通の十七歳とは確実に違う。


それに。


今日一日一緒に過ごしたことで打ち解けたのだろうが、それでも、たった一日だ。


お互いのことは、何も知らないに等しい。


なのに藍は、今日会ったばかりの拓郎に、既に全幅の信頼の様なものを寄せている様子が見て取れた。


最初はともかく、今は男性一人の部屋に二人きりで居るというのに全く意識していない。


あまりに無防備で、簡単に人を信用しすぎる。


――良くこれで、今まで無事だったな……。


これが、そこら辺に良くいるナンパ野郎やスケベ親父に捕まっていたら、だだでは済まなかっただろう。


いよいよこれは危なっかしくて、素性がはっきりして親元に帰すまで放っとけないぞ。


でもまさかこのまま、いつまでも男所帯に置いておく訳にはいかないし。


さてどうした物か……。

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