蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
今どう感じているのか、感情の変化はストレートに表情に出るので至極分かりやすいのだが、その後どういう思考経路でどういう事を言い出すのか、全く予測が付かないのだ。
まるで、びっくり箱みたいだな。
藍の真っ直ぐな瞳を見やって思わず、苦笑する。
「俺は、コタツで寝るから大丈夫。普段でも良くやるんだ。遠慮しないでベット、使って」
拓郎の言葉に、藍がギュっと眉根を寄せた。
「んじゃ、お休み」
何となく不穏な空気を察知した拓郎は、そのままそそくさと部屋を出て襖を閉めようとした。
が一瞬早く、その拓郎の腕を藍が『むんず』と掴んだ。
「わ! なに? どうしたの?」
正に予測不可能な藍の行動に不意打ちを食らった拓郎はずっこけそうになり、慌てて藍の顔を覗き込む。
『必死なんです』と書いてありそうな、大きなライト・ブラウン瞳に至近距離で見詰められて、思わずドキンと鼓動が跳ねる。
「ベッドで一緒に寝ましょう! その方が、暖かいです!」
「……は?」
爆弾発言投下に、拓郎の動きがピタリと止まった。