蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「じゃあ、お休み」
せめてダブルベットなら……。
パチンと電気を消すと、あまり建設的でない考えを頭から追い出して、観念してベットに潜り込む。
「おやすみなさい」
やけに弾んだ楽しげな声が返って来る。
しばらくすると、よほど疲れていたのだろう、スヤスヤと気持ち良さそうな寝息が聞こえて来た。
背中に感じるほんわか温かい体温が、なんともこそばゆい。
悪夢だ。
悪夢意外の何物でもない。
きっと、どこぞの悪戯な神だか小悪魔だかが、自分を陥れようとしているに違いない。
「はぁー……」
拓郎は長ーいため息を、吐き出した。