蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「家出少女が部屋に居る!?」
拓郎の説明に、君恵は驚いたように目を見開いた。
驚くのは当たり前だ。店子が勝手に他人を住まわせたら、大家としては面白いはずがない。
「ええ……まあ、そうなんです」
拓郎は思わず口ごもった。
「へぇ、芝崎君の部屋に、女の子がねぇ」
だが、驚いた表情の次に君恵の顔に浮かんだのは、ニヤリと意味あり気な笑いだ。
「また、猫ちゃんでも拾ってきたのかと思えば、女の子!」
拾った……。
それを言われると、拓郎は恐縮するしかない。