蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
「芝崎君が女の子を自分の部屋に連れて来るなんて、初めてのことだもの。これは早速どんな娘だか見に行かなくちゃだわね」
君恵は、恰幅の良い身体を揺らして笑う。
なにか、誤解されているな。
拓郎はそう思ったが、快く引き受けてくれてホッと安堵してもいた。
普通なら、迷惑がられても仕方がないのだ。
君恵の人の良さに付け込んでいる自分に、少し罪悪感を覚えないでもない。
でも、こうして甘えられる場所が在ることは、たぶん幸せなことなのだと、拓郎はそう思った。