蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
シンとした室内には、自分の他には誰もいない。
枕元のデジタル時計の表示に走らせると、AM 7:30。
「芝崎さん?」
隣の板の間との境の襖を開けて、声を掛けてみたが返事がない。
ふと視線を落とすと、コタツの黒い天板の上に、一枚の白いメモと五千円札が置かれてるが目に留まった。
メモを手に取り、そこに書かれた文章を目で追う。
『 大沼 藍様
今日から三日間、仕事で留守にします。
部屋の物、冷蔵庫の物は、自由に使って貰って構いません。
表通りに出てすぐのところにコンビニがあるので、足りない分はこれで買い足して。
何かあれば、アパート隣に住んでいる大家の佐藤君恵さんに相談して下さい。
君の事は、話しておきます。
俺に連絡がある時は、携帯にかけて下さい。
携帯090 4885 ××××
※追伸。
もしも家に帰る気になったら、大家さんに声を掛けて鍵を預けて行って下さい。
昨日は、モデルの話を受けてくれて、ありがとう!
芝崎 拓郎 』