蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

「はい?」


「藍ちゃんって、まだバージンだったりするのかな?」


「ばーじん、ですか?」


藍は、言葉の意味が掴めずに、きょとんと目を見開いた。


その反応に、美奈はちょっと困ったように「やっぱり」と呟いて、引きつり気味に口の端を上げる。


「つまりね、男の人と性的関係を持った事があるのかってこと」


「あ……ああ。いえ、ありません」


美奈の質問の内容がやっと理解できた藍は、特に恥ずかしがる様子もなく素直に首を振った。


「だよね。……ったく甲斐性の無いヤツめ」


「はい?」


「ううん。こっちのこと」


ふう――、と一つため息を吐き、美奈は言葉を続ける。


「ねえ、藍ちゃん。藍ちゃんは、拓郎のこと、どう思ってるの?」


「どう……ですか?」


「好きか、嫌いかってこと。あ、勿論、男としてね」


首を傾げる藍に、美奈は真剣な眼差しを向ける。

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