風になる
出会って、二ヶ月・・・
東日本大震災が襲った。

涼也は救援物資の振り分けのボランティアに明け暮れた。
何も言わずとも、たまきは「どうせ涼也のことだからボランティアやってるんでしょ?」とメールしてきた。
「返事はいらんし、思う存分やりや。独身で自由の利く涼也だからこそ出来ることたくさんあるからね」と。

しばらくすると、涼也の家は震災の被害者を引き受けることになった。
小さい子供とあばあちゃんのいる5人家族だ。

涼也は小さい男の子と仲良しになった。
毎日のようにその子のムービーを撮り、たまきに送ってきた。たまきも我が事のように喜んで涼也のムービーを楽しみにしていたという。

俺は・・・まだ寮母さんとの蜜月の中に居た。



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