風になる
俺が生まれたのは、とある田舎のとある農園。

俺の母親は男女の双子の片割れ。
農園をみんなでやるため母親は養子を取り、双子の兄夫婦と隣り合わせに住んでいる。
同じ敷地内に倉庫や、畑があり、母屋には長老と爺ちゃんと婆ちゃんが住んでいた。
俺は一人っ子だが、二ヶ月違いの双子が同じ敷地に住んでいたから、まるで三つ子みたいに育った。
長老は農園の他にも、旅館の経営や農業組合漁業組合の重鎮で、そこいらの顔役でもある。
爺ちゃんは、ビニールハウスで当時は珍しかった花を輸入して大当たりして、長老の築いた財を更に増やした。

そして、爺ちゃんは長老よりも先にあっちへ旅立った。

< 3 / 39 >

この作品をシェア

pagetop