風になる
俺たち3人は、門から自転車で行かなければならないほどの大きな家で、使用人なども含めた大家族で楽しく賑やかにおおらかに育った。
それというのも、昔ながらの長老のおかげで(せいで)厳しく慎ましく躾けられていたものだから、世間のお金持ちの坊ちゃんとはひと味もふた味も違っていたのだ。
お小遣いは人並み以下。訳もなくなぐられ、おこられ、しばかれて大きくなった。

小さい頃から毎日日替わりで利き手を変えさせられた。
今日は右利きでご飯を食べる日。だからボールも鉛筆も右で。
「翔也、今日は左の日やで」と涼也に注意されたり、しょっ中だった。
おかげで、今では両利きになっている。

俺も双子も何故か記憶力が人より良いらしく、授業なんかは一回聞けばあとは退屈なだけ。
いつも寝てるか遊んでるかで親はしょっちゅう学校に呼び出しを食らっていた。
でもしょうがないよなあ。もう知ってることばっかり繰り返されたって面白くないし、テストのときはそれを思い出せばいいだけだから、当然点数は良くて…。

本を読むのも大好きで、読書感想文もお手の物。
だから、夏休みの感想文の宿題は友達の分も書いてやってた。
代わりに図画工作の宿題をやってもらうんだ。
俺って、絵だけは苦手。

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