風になる
医者では埒が明かないと、民間療法を研究した双子の両親は、認可されていない薬を涼也に処方した。
効果はてきめんだった。

涼也は治った。

少なくとも

この時は。



涼也は農園の手伝いをしながら、高校のときにスカウトされたホストのバイトにも時々呼ばれてヘルプに行くようになった。

病院で知り合った同じような病気の方々との触れ合いから、ボランティアにも参加し、そこで淳也という新聞記者と出会った。
淳也は骨の癌で、陸上をやっていた学生時代に発病。足を切断してからも車椅子バスケをやり、仕事もがんばる凄いやつだった。
いつしか涼也は新聞記者になりたいと思うようになっていた。
しかし、涼也が19歳の年に淳也は旅立った。
そして、一緒に遊んでいた淳也の彼女も一ヵ月後に自ら命を絶った。
ネットで知り合った無責任なヤツに彼女が「淳也のとこ行きたい」と漏らしたあと、そいつが「あなたの思うようにしたらいい」と、背中を押してしまったのが原因だ。


涼也には更に悲しみが続いていた。
双子の親父に病魔が襲い掛かったのだ。

親父も骨の癌に侵され、45歳の若さで旅立ってしまった。

成人式目前・・・、双子は式には出席しなかった。



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