無口なカレシの愛し方
彼に恋をして3ヶ月。
「風間くんてうどん好きだよね」
「うん」
「うどんとおそばだとどっちが好き?」
「うどん…かな」
私の努力と馴れ馴れしさが身を結び、偶然食堂で会ったときに向かいの席に座って、そんな会話が出来るぐらいにまでは進展した。……してるか?
「西島さんは何が好きなの?」
彼の方から私の事を聞いてくれたのは、この時が初めてだった。
嬉しくてテンションがあがってしまうじゃない。
「私?私は卵。オムライスとか親子丼とか。あと鶏肉。焼き鳥とか好き」
焼き鳥は色気が無かったと一瞬後悔したけど、目の前の優吾は目を細めて私に言った。
「焼き鳥、食べに行こうか?」
「えっ?」
思いもしなかった誘いに、私の彼の言葉の解析能力が鈍る。
「僕も焼き鳥、好きだから」
そうか、そういう事か。それは良かった。
思わぬ展開に嬉しくて嬉しくて、何回もコクコク頷く私。
「じゃあ8時に裏口のところで」
とってもシンプルな約束を残して、優吾は食べ終えたうどんセットのトレーを持って立ち去っていった。
その姿をニヤけた瞳に映しながら、内心ちょっと焦る。
だって。8時って、今日って事?うわ、いきなりですなあ。今日、メイクポーチの中身ちゃんと揃ってたっけ。あー、先週買った新しい靴で来れば良かったなー。
唐突な食事の誘いは嬉しさたっぷり、焦りもたっぷり。
それから。
(…今日の下着、上下お揃いだったよね。よし!)
下心…もとい、恋心も、たっぷり。