*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
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「ーーーーーまぁ!!
青羽山って、とっても大きな山なのね!」
初めて青羽山にやって来た汀は、状況も忘れ、きょろきょろと周りを見渡している。
その後ろで藤波は、肩を落として脱力していた。
両極端な二人の様子を見比べ、息吹が口をひらく。
「…………あんたら、どういう関係なんだ?」
その問いを耳にして、汀が正直に答えようとする。
「あぁ、私たちは仲間よ」
「仲間? なんの?」
「しらぬいや………っ!!」
青羽山の盗賊たち相手に、自分たちが白縫山の盗賊であることを知られたら、どうなるか。
それをよく分かっていた藤波は、慌てて汀の口を塞いだ。
全く分かっていない汀は、口を塞いでいる手を引き剥がそうとばたばた暴れるが、藤波は力をこめて喋らせない。