*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
二人は今、太い縄に手首を繋がれている。
その縄の先は、息吹の手に握られていた。
どこか女性らしく見える顔立ちの息吹だったが、その腕はやはり盗賊らしく隆々としたもので、汀と藤波二人を意のままに動かすことができた。
はじめは抵抗を試みた藤波であったが、どんなに縄を引いても息吹がびくともしないので、とうとう諦めてしまった。
(………どこかで隙を見つけて、逃げ出さなきゃ)
息吹の大きな背中を睨みつけながら、藤波は焦りを覚えていた。
しばらく縄を引かれるままに歩いていると、どうやら頭領である息吹の住処であるらしい洞窟に辿り着いた。
「入れ」
息吹は威丈高に言うと、藤波の背中を乱暴に押した。
藤波はよろめいて、舌打ちをして洞窟の入り口をくぐった。
汀も興味深そうにきょろきょろしながら中に入る。
その縄の先は、息吹の手に握られていた。
どこか女性らしく見える顔立ちの息吹だったが、その腕はやはり盗賊らしく隆々としたもので、汀と藤波二人を意のままに動かすことができた。
はじめは抵抗を試みた藤波であったが、どんなに縄を引いても息吹がびくともしないので、とうとう諦めてしまった。
(………どこかで隙を見つけて、逃げ出さなきゃ)
息吹の大きな背中を睨みつけながら、藤波は焦りを覚えていた。
しばらく縄を引かれるままに歩いていると、どうやら頭領である息吹の住処であるらしい洞窟に辿り着いた。
「入れ」
息吹は威丈高に言うと、藤波の背中を乱暴に押した。
藤波はよろめいて、舌打ちをして洞窟の入り口をくぐった。
汀も興味深そうにきょろきょろしながら中に入る。