*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
呑気な発言に、藤波は「はぁっ!?」と目を丸くした。






「………嫌とか、そういう問題じゃないだろ!?


あんたは俺と二人きりで同じ部屋に入れられて、どうもないのかよ!?」






「あらっ、私は嬉しいわよ!!


だって、別々の部屋なんて、寂しいじゃないの!!


ねぇ、仲良くしましょうね?」






「……………」







げんなりと脱力した藤波の肩を、近くに控えていた天城がぽんぽんと叩いた。





そして、藤波の耳許に顔を寄せ、小声で話しかける。





「………お前さんの気持ちは、分からんでもないが。



でも、同じ部屋にいてやった方がいいぞ」





「…………え?」






天城の言葉の意図をつかみかねて、藤波は顔を上げた。






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