*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
藤波が物思いに沈んでいると、汀が唐突に土床を突つき始めた。





「…………? なに、してるの」





怪訝な声で問うと、汀がぱっと振り返る。






「ちょっと、藤波ちゃん!!


ここ、ほら………土が柔らかいわ!!」





「…………え?」






今度はいったい何を言い出したのか、と藤波は首を捻る。





手招きされるままに立ち上がって汀の横にしゃがみこむと。




汀はその白い手が汚れるのも構わずに、黒く湿った土を掘りはじめていた。






「…………なにしてんの?」






とうとう本当に頭がおかしくなったのかと、藤波は少し慌てた。





汀はそんな心配をよそに、一生懸命、穴を掘っている。







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