*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
(…………牢に囚われてもあっけらかんとして、何も考えてないような顔をしていたけど)
その裏で実はちゃんと身の振り方を考えていたのかと、藤波は汀を見直したようにその横顔を凝視した。
地中に埋められた木の格子の近く、柔らかい土に、二人で穴を掘る。
格子の根もとが見えるくらいまで穴が深くなると、汀はいったん手を止めた。
そして根もとを握ってぐいぐいと引っ張ってみる。
「…………まだ、だめねぇ。
もうちょっと掘らないと、抜けそうにないわ」
「そうだね」
「もうひと頑張りよ、藤波ちゃん!」
にっこりと笑いかけられ、藤波も笑みを返した。
その裏で実はちゃんと身の振り方を考えていたのかと、藤波は汀を見直したようにその横顔を凝視した。
地中に埋められた木の格子の近く、柔らかい土に、二人で穴を掘る。
格子の根もとが見えるくらいまで穴が深くなると、汀はいったん手を止めた。
そして根もとを握ってぐいぐいと引っ張ってみる。
「…………まだ、だめねぇ。
もうちょっと掘らないと、抜けそうにないわ」
「そうだね」
「もうひと頑張りよ、藤波ちゃん!」
にっこりと笑いかけられ、藤波も笑みを返した。