*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
*
「ーーーーー灯。
黒松が戻ったぞ。
一緒に報告を聞こう」
見上げても天辺がよく見えないほど高い、いつも樹の枝に座っていた灯に、群雲が下から声をかけてきた。
「分かった」
灯は短く答えると、ひょいと飛び降りる。
灯が群雲の横に音もなく着地すると、群雲は黙って歩き出した。
群雲の洞窟に入ると、黒松は立ったまま二人を出迎えた。
「お頭。いちおう聞き込みはしてみたんですが………正直、よく分からない状況なんです」
「………ふむ。まぁ、話してみてくれ」
「はい………」
黒松は小さく頷き、報告を始めた。