*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫
「まず、先に申し上げておきますが。



汀さんと藤波の居場所は、まだ分かっていません」





「…………そうか」






群雲は小さく頷く。





都は広い。



そうそうすぐに、探している人物が見つかるわけはないと思っていた。






「ですが、いくつか、気になる噂話が耳に入りました」





「ふむ。どんな噂だ?」





「まずは、今、都じゅうで話題になっている賞金首に関するものです。


内裏に侵入した不届きな盗賊、ということで、『赤毛の男と青目の女』に賞金がかけられているのだそうです」





「…………そりゃ、灯と汀のことじゃないか」






群雲が呟くと、黒松は同意するように首を縦に振った。






「そのようです。


これについてはかなり話が広まっているようですので、汀さんも市で耳にしたかもしれません」






「…………そうか。それはありそうな話だな………」






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